思いついたとこだけバボ+ベル

ベルモット
隣に座らせて走るドライブは、意外にも嫌いではなかった
恋人でも友人でも家族でもない、仕事の同僚、上司、仲間……どれにも当てはまらない
もし関係を言葉にするのならどれが適切なのだろう、味方、敵……同類、どれもしっくりこないような気がする

そんな関係の曖昧な人物を乗せてはいるが、彼女の香水の香りは最初こそ嫌に目立ったがいつしか慣れていい匂いだと感じるようになった
彼女の身につける洋服や靴や鞄は、露出土や装飾や値段こそえげつないものであったが総てが一流の品である事はひと目でわかる代物であったし、それらを上品に従えている彼女はまさに世界のトップスターであり、その横に座る自分はなかなかふさわしいと思ったりもした

ベルモットにあんな口をきけるのはお前だけだ、と、組織の誰かに言われたこともあった
自分はベルモットに気に入られているという自負はあった
ベルモットは自分のことをまるで弟のように見ているような目をすることがあり、わがままで自由奔放な姉に付き合ってあげている健気な弟というのはわりあいしっくりくるのかもしれない

制圧を夢に見るほど待ち望んだ黒の組織の、一員
憎んでいたかと問われると自信が無い
彼女は、一体なんだったのだろう